KBS京都で放送中の『谷口流々』。
谷口キヨコが、京都を中心に活躍する人々の仕事現場に足を運び、十人十色の人生哲学を紐解いていきます。
2024年1月20日(土)の放送では、和太鼓奏者&珈琲焙煎士・渡邊健吾さんに話を伺いました。
Profile:和太鼓奏者&珈琲焙煎士・渡邊健吾さん
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今回ご紹介する渡邊健吾さんは、和太鼓奏者と珈琲焙煎士の二つの肩書きを持っています。プロの太鼓芸能集団に8年在籍し、2023年に京都へ移住。カフェをオープンしました。
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渡邊さんは、太鼓を打ちに行く時はもちろん法被を着ていますが、お店でコーヒーを淹れる時も法被を着ています。
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お店に置いてある太鼓は、牛の皮を張っている『平胴太鼓(ひらどうだいこ)』。渡邊さんの相棒です。
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京都に移住して、『熊野若王子神社』での奉納演奏を行なったことも! 今後も、神社やお寺で演奏する機会が増えることを楽しみにしているそうです。
和太鼓中心の生活

渡邊さんの出身は新潟県です。太鼓との出会いは、小学校6年生の時でした。友達が新潟の郷土芸能『万代太鼓(ばんだいだいこ)』を叩いていたのを見て、「シンプルにかっこいいな」と思ったのが太鼓を始めたきっかけです。

高校時代はボクシング部に在籍していましたが、太鼓の行事やイベントが重なったらボクシングを休んで太鼓を優先していたそうです。進路を決める時に、「自分が何を一番やりたいか?」と考えたら“太鼓”だったそう。
高校生の時に、佐渡島が拠点の太鼓グループ『鼓堂(こどう)』の演奏を聴き、改めて自分は太鼓がやりたいのだと『鼓童』のメンバーになることを目指しました。
プロの太鼓芸能集団「鼓童」

佐渡島に『鼓童』に入るための研修所があります。渡邊さんは研修所の2年間、朝5時起床、夜10時就寝のスケジュールで過ごしました。
日中は太鼓の稽古や、笛やお茶の稽古。それ以外にも畑作業で自分たちが育てた米や野菜を食べ、体を作り、自然と共に音作りをする生活を送りました。
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高校卒業して研修所に飛び込んだ渡邊さんは、様々な人が集まり集団で一つのものを作り上げることに難しさを感じ、当時は苦しかったそうです。ただ、「今思えば充実した時間だった」と話します。
『鼓童』のメンバーになってからは、演奏を聴きに来てくれているお客さんにとっては「もう一生ないかもしれない一回。その一回一回を大事にする」という気持ちに。ただ、プロとして喰らいついていくのが大変だったそうです。

『鼓童』を離れようと決断した理由は、渡邊さんが難しさを感じていた“集団での行動”が要因でした。「一生やったらどうなんだろう…」と思い始め、2020年に『鼓童』を退団します。メンバーとしての在籍としては6年。研修所時代も含めると8年でした。
『鼓童』に在籍している時の癒しこそがコーヒーだったそうで、今に繋がります。
コーヒー修行の始まり
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渡邊さんが提供するコーヒーの器は抹茶のようにいただくスタイル。

今回いただいたコーヒーは、中深煎りのあまり苦過ぎず、浅過ぎない、でも甘さも感じる、ほろ苦ブレンド『鼓(つづみ)』。ブラジル、バリ、ケニアの3種類の豆をブレンドしています。
『鼓』という名前についても太鼓を意識しており、「ドーンという太鼓の余韻が甘さの余韻にも繋がってくるといいな」と思い名付けたそうです。
いただいてみると、甘ったるい甘さではない、豆の甘さ、そしてコーヒーらしさの持つ力強さや重みが感じられます。
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渡邊さんは太鼓のことで頭がいっぱいになった状態をリセットするために、休日はカフェへ行ったそうです。
『鼓童』を辞める時に「自分を表現するのは太鼓だけではない」と気づいたそうで、「自分の好きなコーヒーでお客さまがリラックスしたり、ポジティブな気持ちになってもらいたい。そういう場所を自分の一つの表現としてやっていきたいと思い始めた」と話します。
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コーヒーの修行を始めようとした時、コーヒーの知識が全くありませんでした。そのため、コーヒーの世界に入り、アルバイト生活を経て新潟の珈琲の会社に就職します。会社ではコーヒーの焙煎をする仕事をしていたそうです。

新潟から京都に来た理由は、『鼓童』で関わったご縁で京都のカフェ『STARDUST』のオーナーに誘われて移住を決意。
今後の目標は、「お菓子作りをしているパートナーと一緒に、しっかりとやっていくお店を作っていきたい」と渡邊さんは教えてくれました。
渡邊さんを表すことば
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今回の“渡邊さんを表すことば”は、『法被の表現者』です。
これからお店『喫茶 暖々』をさらに進化し、自分を表現していこうとしている渡邊さん。法被を着てコーヒーを淹れている姿が見れるかもしれませんね!
関連記事:これまでの「谷口流々」はこちら!
文/西門
【画像・参考】谷口流々(毎週土曜日9:30~10:00) – KBS京都
※この記事は、2024年1月20日(土)放送時点の情報です。最新の情報は各店舗・施設にお問い合わせください。